期間
2024年9月22日(日) – 10月13日(日)
時間
10:00-17:00
作家在廊日
9月22日(日) 、 9月23日(月・祝)
休館日
9月24日(火)、9月30日(月)、10月7日(月)
入館料
無料
会場
ギャラリーつつむ(日野まちかど感応館内)
概要
川崎祐は、家庭内写真と地方・郊外をテーマに制作を続ける写真家です。自身の故郷である滋賀県長浜市に取材した前作『光景』(2019、赤々舎)は、家族と家族を取り巻く地元の風景を「家族」や「故郷」にまつわる既存のイメージから逸脱させ、独自の眼差しで捉え直した作品でした。また、2019年には当ギャラリーにおいて、当時制作途中にあった『光景』から風景写真を一部抽出して展示した個展「小さな場所」を開催しました。
本展では、川崎が2018年から「聖地」として知られる熊野(和歌山県新宮市)に取材して撮影を重ね、2023年に写真集『未成の周辺』(喫水線)として結実した作品の中から、プリント約10点と、スライドを展示します。
『未成の周辺』において、川崎は2つの方法(パート)から「風景」へのアプローチを試みています。
ひとつは、新宮の風景を写した写真群から構成されるパートです。新宮市は熊野信仰の「聖地」として知られていますが、川崎が関心を寄せたのは、その聖地性を象徴するような熊野らしい風景ではなく、川崎が故郷・長浜で見出したのと同じような荒地や空き地や住宅でした。川崎が新宮の街で繰り返し撮影した郊外的とも評しうるこれらの写真は、風景の「郊外」化が進む今日の日本において人びとの心の奥底に内在している「風景」を炙り出して表象させたものと言えるでしょう。
もうひとつは、路線バスの車窓から「熊野」の風景を撮影した写真群から構成されるパートです。ここでは、「熊野」の風景が新宮から奈良県の大和八木まで6時間半かけて紀伊半島を縦断するバスに揺られながら撮影されています。そのため、これらの写真は一見、「失敗」した写真であるように見えます。しかし、ここで川崎は過剰なまでにカメラの機械性に身を委ねて撮影を繰り返すことによって、「風景写真」の成立条件こそを問うています。なお、本展において公開するスライドでは、このパートに収録された55点に及ぶ写真全点を収めています。
川崎が実験的かつ企みに満ちた2つの方法でアプローチした「風景写真」を、ぜひお楽しみください。
作家プロフィール
川崎祐(かわさき・ゆう)
作家・写真家。1985年、滋賀県生まれ。2017年、第17回写真「1_WALL」グランプリを受賞。2018年、ガーディアン・ガーデンで個展「Scenes」を開催。2019年に『光景』を赤々舎より刊行し、同時期に個展「光景」をニコンサロンで行う。2022年に3年ぶりの新作「未成の周辺」(Alt_Medium)を発表し、翌年kanzan galleryでも同名の個展を開催、写真集『未成の周辺』(喫水線)を刊行する。2025年には「あざみ野フォト・アニュアル2025 わたしの知らない場所の名前」を横浜市民ギャラリーあざみ野で開催予定。そのほか、文芸誌等へエッセイや書評、短編小説などの寄稿多数。
主催
日野観光協会・ギャラリーつつむ
【関連イベント】
トーク+サロン「制作のこととか」
川崎祐(作家・写真家)×野田幸江(花屋・美術家)
定員 15名
日時 9月23日(月) 15:00−17:00
参加費無料/1ドリンク制(500円)/要予約
お申し込みは申し込みフォームから