開催概要

開催期間 2019.4/28(日)―6/1(土)
作家在廊日:2019.4/28(日)、29(月)
期間中休館日 5/7、13、20、27
開館時間 9:00-17:00
入館料 無料
開催場所 ギャラリーつつむ
主催 日野観光協会

川崎祐は、2017年に家族と川崎の故郷である滋賀県長浜市の風景を被写体として日常の中に垣間見える混沌と静寂を写した作品「光景」で第17回写真「1_WALL」グランプリを受賞しました。
翌2018年には、「光景」をベースに撮り下ろし作品を加えて構成した個展「Scenes」を発表し、同作により第44回木村伊兵衛賞の最終候補者に選出されました。
「光景」「Scenes」から続くシリーズ三作目となる本展「小さな場所」では、主に長浜市郊外の風景に焦点があてられています。波打つ湖面、揺れる木々、どこか空虚さを漂わせる更地。地方近郊ではありふれているとも言えるこれらの風景に対して、川崎はただ静かにカメラを向けています。
しかし、感傷を排して淡々と撮影されたと思しきこれらの写真からは、むしろ故郷を類型的なイメージによっては捉えない川崎独特の眼差しが浮かび上がってくるようです。
本展では写真作品に加えて、本展のために書き下ろされたテキストも合わせて展示します。川崎の新たな試みを是非ご覧ください。


F さんに子どもができたという。F さんは大学院時代の先輩で、割りのいいアルバイトを紹介してもらったりしてお世話になっていたのだけれど、私が就職してからは、自然と連絡を取らなくなった。F さんに子どもができたことは私と F さんの共通の友人に聞いたはずだ。そんな Fさんとついこのあいだ、本を借りに行った大学の図書館でたまたま会った。子どもができたというのは本当だった。もう二歳になるという。名前は教えてくれなかった。
そのとき F さんが話していたのは、赤ん坊はあまり年をとらない、ということだった。赤ん坊は急速に成長するけれど、それは肉の塊のようだった生命が徐々に人間という生物らしくなる からで、赤ん坊においては身体的な成長が精神的な成長を圧倒していると F さんには感じられ るのだということだった。
――もちろん、呼びかける言葉に反応するようになったり、意思表示らしい反応を示すようになって成長してるなあって実感はするよ。でも、身体の成長と精神のそれがうまく比例してる感じがしないんだ。それに子どもには三歳くらいまでの記憶がないっていうだろ?だから、俺は、子どもは三年くらいあんまり年を取ってないんじゃないかと思うんだよ。だけど、にもかかわらず、たしかに成長しているから奇妙なんだ。これは俺の、つまり日々更新される情報の受け手の感じ方によるものなのかな? この時間は彼らのいったいどこにいってしまうんだろうか――。
F さんの話には F さんの実感以外に根拠はなかった。それに私には子育ての経験もないから、 正直よくわからない。しかし私は、F さんの話していたことを信じようとしているようだ。裂け目のない時間の流れのなかで生じたとてもちいさな穴が、私の生きる時間のなかにどうもぽっかり空いているようなのだ。

川崎祐


川崎祐(かわさき・ゆう)
1985年 滋賀県生まれ 2009年 早稲田大学第一文学部卒業 2013年 一橋大学大学院言語社会研究科修了
受賞歴 :2017年 第17回「写真」1_WALL グランプリ
個展 :2018年 第17回「写真」1_WALL グランプリ受賞者個展「Scenes」(ガーディアン・ガーデ ン/東京)
グループ展: 2017年 第17回「写真」1_WALL展(ガーディアン・ガーデン/東京)

イベント情報

4/28(日)18:30~20:00 オープニングパーティー
4/28(日)10:00~16:00 らっこや(自家焙煎のドリップ珈琲とお菓子)
4/29(祝)10:00~16:00 kancoffee(ドリップ珈琲とお菓子)